離婚した私

離婚についてのあれこれ、結婚していた頃のエピソード、独りで生きる自由と孤独を書いていきます。

夫が「アスペルガー症候群」と診断されていたなら

先日、私の夫はアスペルガー症候群だったのかもしれない、

という記事を書いた。

私は現在、障がい者に関わる仕事に従事している。

一般の方よりかは、その分野に詳しい。

勉強する程に、

元夫は発達障害者であろう、という予測が、確信に変わってきた。

 

付き合い始めたのは、今から30年以上前のことだ。

もちろん、アスペルガー症候群などという言葉は知られてなかった。

一般に知られたのは、「酒鬼薔薇事件」の後だったと思う。

少年Aがアスペルガー症候群と診断されたのだ。

それによって、何か「危険な病気」という間違った認識が広まってしまった。

今は、アスペルガー症候群をピックアップするより、

自閉症スペクトラム」として統括されている。

 

 その当時は、「この人、発達障害?」というような視点は、当然なかった。

現在のように、グレーゾーンの人はたくさん存在している、

という知識が一般人には無かったからだ。

付き合ってる時は、

自己主張をほとんどせず、引き笑いばかりしている人だ、

と感じていた。

私に異論を唱えることも無く、まあ優しい人だと思った。

・・・それが「自分が無い人だ」に変わるのは、もう少し後になってからだ。

 

もし、我々が生まれるのが、20年遅かったらどうだったろう。

専門医の所に、彼は受診してくれただろうか。

そして確定診断を受けて、私は救われただろうか。

 

どちらも難しかっただろうと思う。

 

人一倍プライドが高い彼のことだ。

精神科の受診は拒んだだろう。

もしかしたら、彼の方が自分の特性に、

私より先に、とっくに気づいていたかもしれない。

 

 そして私は、

アスペルガー症候群」と診断された夫を、

見捨てるわけにはいかないと頑張り、

もっともっと泥沼に嵌っていたかもしれない。

 

精神科に入院したのは私の方だった。

今なら「逆じゃん!」と、あの頃の夫に思いきり突っ込むことができる。

夫が「アスペルガー症候群」と診断されていれば、

むやみに夫婦の責任をすべて背負うことはなかったかもしれない。

苦しみの正体がわからぬまま、

私は数年間、うつ病のトンネルを彷徨うことになる。